SNSや動画プラットフォームが普及し、瞬時に双方向のコミュニケーションが取れる現代。だからこそ、自分の内面を見つめ、相手を想いながら「手紙を書く時間」に新しい価値を見出せるのではないでしょうか。
先日、駐日フィンランド大使館の協力のもと、株式会社ライツ・アンド・ブランズと日本郵便株式会社がタッグを組んだ、ムーミン×日本郵便 「手紙を送ろう」プロジェクトのローンチイベントが開催されました。今回は、フィンランドの文化や教育の視点、そしてムーミンの世界観を交えて熱く語られたイベントの模様を詳しくレポートします。
※この記事は、ムーミン×日本郵便 「手紙を送ろう」プロジェクトのローンチイベントに参加して作成したものです。
登壇者一覧
- 伊東 久美子 氏(株式会社ライツ・アンド・ブランズ 代表取締役社長)
- タンヤ・ヤースケライネン 氏(駐日フィンランド大使)
- 小池 信也 氏(日本郵便株式会社 代表取締役社長)
- エルナ・ニュカネン=アンダーソン 氏(フィンランド大使館 広報文化外交・コミュニケーション参事官)
駐日フィンランド大使が語る「手紙」がもたらす人生の財産

発表会の冒頭、駐日フィンランド大使のタンヤ・ヤースケライネン氏が登壇。ムーミンがフィンランド文化に深く根ざした存在であることを説明するとともに、原作者トーベ・ヤンソンが熱心な手紙の書き手であったエピソードを披露しました。
タンヤ・ヤースケライネン 駐日フィンランド大使
「ムーミンはフィンランドの文化そのものであり、私たちは何十年もムーミンと共に育ってきました。作者のトーベ・ヤンソンは、世界中のファンから毎年数千通もの手紙を受け取り、その一通一通にできる限り手書きで返事を書いていました。手紙の大切さは、彼女の物語にも色濃く描かれています」
さらに大使は、自身の個人的なエピソードとして、9歳の時にサマーキャンプで出会ったフィンランド人の友人や、13歳の時に文通を始めたギリシャの友人との思い出を共有。当時は携帯電話がない時代。手紙を通じて何百通ものやり取りを重ね、17歳の時には手紙の住所だけを頼りにヨーロッパを鉄道で旅してギリシャの友人に会いに行ったというエピソードを語りました。「手紙を書くことは、何十年もの友情を育み、私のキャリアや人生そのものに大きな影響を与えました」と、手紙が持つ国際的かつ個人的な繋がりの力を強調しました。
プロジェクトの背景:ムーミンのバリューと手紙の「価値の再設定」

続いて、ライツ・アンド・ブランズの伊東久美子氏と、日本郵便の小池信也氏より、プロジェクトの具体的な理念が説明されました。
伊東 久美子 株式会社ライツ・アンド・ブランズ 代表取締役社長
「ムーミンの物語には「友情、愛、やさしさ、自然との共生、冒険心、自由」といった時代を超えた本質的なバリュー(価値観)があります。原作者トーベ・ヤンソンは毎年数千通のファンレターに、可能な限り手書きで返信をしていたそうです。読むこと・書くこと、特に「手紙を書くこと」は、単なる通信手段ではなく、自分を表現して人と心をつなぐ大切な芸術手段でした」

小池 信也 日本郵便株式会社 代表取締役社長
「今の時代、デジタルやSNSを使えば時間もかからず双方向のコミュニケーションが可能です。一方で、手紙は便せん、封筒、葉書や万年筆を選び、切手を選び、手を使って書くため非常に手間暇がかかります。しかし、その『書く時間』こそが、自分の内面を振り返り、相手を深く想う豊かな時間になります。デジタル時代だからこそ、単なる通信手段を超えた『手紙の価値の再設定』をしていきたいと考えています」
プロジェクトに力をくれた感動的なエピソード
伊東氏から、アメリカに住む息子に向けて30年間にわたり407通の手紙を書き続けた90代の母親のニュースが紹介されました。母親が語った「手紙は残るもの(形があるもの)だから、いつでも読み返して当時の想いを感じられる」という言葉は、トーベ・ヤンソンの手紙への想いと深くリンクしています。このエピソードに強く感銘を受けた小池氏(当時近畿支社長として感謝状を贈呈)と伊東氏の想いが、本プロジェクトの大きなエネルギーとなりました。
展開される2つのメインコンテンツ
「手紙を送ろう」プロジェクトでは、人々の心の動きを育み、自己表現を促進する2つの具体的なコンテンツが提供されます。
第2回 ムーミンのものがたり 読書感想文・感想画コンテスト

トーベ・ヤンソンが大切にしていた「読むこと・書くこと」を通じた自己表現の場として、今年で2回目となるコンテストが日本郵便とタッグを組んで開催されます。

ムーミンのものがたり 読書感想文&感想画コンテスト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 今年のテーマ作品 | 『ムーミン谷の彗星』 |
| 対象書籍 | ・小説『ムーミン谷の彗星』(講談社) ・絵本『ムーミントロールとすい星がきた日』(徳間書店)※お子様向け |
| 募集期間 | 2026年7月 ~ 9月(詳細は後日発表) |
| 特別賞・副賞 | 【大賞】 フィンエアー(FINNAIR)提供:フィンランド往復航空券(ペア) 【お手紙賞(新設)】 登場キャラクターへの想いや、届けたい気持ちに焦点を当てた賞 |
| 表彰式 | 2026年11月19日(木)開催予定 |

子供たちの学びを育む移動式遊び場「ムーミン ファンデリバリー」



もう一つのコンテンツが、子供たちが遊びながら心と身体を育むプログラム「ムーミン ファンデリバリー」です。北欧のおもちゃや絵本、ボールプールなどを搭載した専用の車が移動し、地方を含めた様々な場所で遊び場を提供します。

このプロジェクトでは、郵便局の「ポストカー」等とも連携し、子供たちが移動式遊び場で身体を動かして感じた新鮮な気持ちを、その場で手紙のワークショップを通じて大切な人に書く、という一連の体験をシームレスに提供することを目指します。
フィンランドの教育思想「遊びを通して学ぶ」とは

発表会の後半では、フィンランド大使館の広報文化外交・コミュニケーション参事官、エルナ・ニュカネン=アンダーソン氏が登壇し、本プログラムのベースにあるフィンランドの幼児教育についてプレゼンテーションを行いました。
エルナ・ニュカネン=アンダーソン 参事官
「フィンランドには『遊ぶことは子供の仕事である』という言葉があります。フィンランドの教育において、遊びは学びの合間の休憩ではなく、遊びそのものが学びです。子供たちは遊ぶことで、社会性、身体能力、言語能力、問題解決力、そして自信を育んでいきます」
フィンランドの保育園では、子供一人ひとりに合わせた個別の幼児教育プランが作成され、室内での工作や絵描き、そして「どんな天候(雨や雪)であっても毎日必ず外に出て自然を探検すること」が最も重視されます。外で走り回ることで、自律心や集中力、安定したメンタルが育まれるのです。
参事官は、「この『遊びを通して学ぶ』というコンセプトが、ムーミン・ファン・デリバリーと手紙のワークショップを通じて日本の全国の子供たちに届き、学ぶ楽しさを知ってもらえることを大変嬉しく思います」と期待を寄せました。
結びにかえて:手紙がもたらす豊かな時間

今回の記者発表会を通じて一貫していたのは、「手紙」というアナログな行為が、現代の私たちにとってこれ以上ない「贅沢で豊かな時間の使い方」の提案であるということです。
自分の心に寄り添い、相手の顔を思い浮かべながら言葉を選び、文字にする。そんな丁寧なコミュニケーションの価値を、ムーミンの温かい世界観とフィンランドの伸びやかな教育思想、性能を高めた日本郵便の確かなネットワークが繋いでいきます。
今年の夏は、大切な人へ一筆、手紙を書いて送ってみてはいかがでしょうか。
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